マカンが電気自動車化する3つの理由(2021年EU排気ガス規制の解説)

(最終更新日:2020.2.12)

こんにちわ、アキタローです。

今回はマカンの電気自動車化(EV化)についてです。

イギリスで2040年からを予定していたガソリン車販売規制を5年前倒すという記事も直近でありましたね。

英 2035年にガソリン車などの新車販売禁止へ 温暖化対策 – NHK NEWS WEB

全世界的に車から排出される排気ガスを削減しようと躍起になっているのが昨今。

実際にオール電気自動車の社会が実現するのかどうかはともかく、その情勢や風潮を見越してポルシェでは既に次期マカンがEVとなることが決定しています。

今回はそんなマカンのEV化に、マカンオーナーが思うところを記載します。

欧州の排気ガス規制について

 

まず、欧州における昨今の排気ガス規制について記載していきます。

ここを書かないと、この後の理由付けが意味をなさないですからね。

 

そもそも排気ガス規制をなぜ行っているかというと、大気汚染が深刻になった時代があったから、それを繰り返さないためです。

単純明快。

アメリカをはじめとして、1950年代以降モータリゼーション(自動車の大量普及)が起こると、利便性が大変良いため馬車に変わる人々の移動の足として車が使用され始めました。

これによって、有害物質を含んだ排気ガスが急激に増えてしまい、大気が汚染されていくこととなるわけです。
(当時はエンジンにフィルターをかけるなど、そういう発想は無かった。エネルギーは使ってナンボ、大量消費の時代。)

大気汚染により人々に健康被害まで出るようになり、それを食い止めるために自動車排気ガス規制法案が制定されていきました。

1970年にアメリカで可決されたマスキー法を境に、自動車業界のモノヅクリは大排気量が正義の時代から、コンパクトかつエコノミーな方向へシフトしていきます。

当時の時代、このマスキー法は到底実現困難(5年後に排気ガスの有害物質、今の1/10してね☆ じゃないと販売認めないから!ぷんすか)と考えられており、ビッグ3のGM・クライスラー・フォードはかなり反発したそうです。マッスルカーばっかり作ってたもん…そりゃそうだわな。

ですが、日本のホンダをはじめとした生真面目で勤勉、努力逞しい日本自動車メーカーの技術者たちは世界一厳しいとされたこのマスキー法をクリアするエンジンを開発し、ガンガン日本車の普及を拡大

今の米国に置ける日本車への信頼や販売網の土台作りがこの時から出来上がっていったのでした。

 

そこから早50年近く。

今我々はマスキー法に変わる新たな規制を目の前に控えています。

 

欧州の排気ガス規制(Euro7です。

2021年に排出される排気ガスの中に含まれる2酸化炭素(CO2)をメーカーあたり95kg/km以下にするというものです。

各メーカーはこれ以下の数値にしないと1g超過するごとに”販売1台あたり”1万2千円の罰金を支払うことになります。

例えばポルシェの2019年の売上は、EU全体で77,529台だそうです。
http://carsalesbase.com/european-car-sales-data/porsche/

簡単に計算をするとして、ポルシェ全体のCO2排出量が115kg/kmだとしましょう。

20kgの超過なので、販売1台あたり24万の罰金です。では…かけることの販売台数は。

77,529 × 24万円 = 約186億円の罰金となります。

一般庶民としてはなかなかシビれる数字です。

しかし、ポルシェの営業利益は年間約5,000億円ほどありますから、この影響で直ちに経営が傾くとかは絶対に無いでしょう。

ただ、毎年100億を超える“無駄金”が発生するのは経営として健全ではありませんよね。

“無駄金”を払わないためにも、この排気ガス規制に対応するエンジンの開発などが急がれているわけです。

 

引用元:諸外国における車体課税のグリーン化の動向 – 環境省

ちなみに、この表を見てもらうとわかる通り、日本をはじめとしたアジア諸国はまだまだユルユルです。(韓国を除く)

日本が2020年に122kg/km、中国が2020年に117kg/km、インドが2022年に113kg/km、アメリカが2025年に99kg/km。

なのでGPF(ガソリンフィルター)未装着で日本やアジアに到着するポルシェ車種が何種類かあるわけなんですね。

少なくともマカンベースグレードは未装着だそうです。

この表の中でも断トツに削減目標を掲げているのがEU2021(Euro7)です。

こうして表で見ると、Euro7規制の厳しさがわかりやすいかと思います。

 

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/11282.pdf

このEuro7規制、クリアできそうなメーカーはかなり限られていると聞こえてきます。

トヨタや日産ルノー連合くらいしかクリアできないだろう、という見方が大勢のようですね。

ドイツ勢は2021年~23年頃まで多額の罰金を払うことになりそうですね。

 

いずれにせよ、この規制が世界的に展開されていくのは間違いないですから、すべての自動車メーカーが対策をする必要があるということとなります。

そして、その簡単な対策が…。

ガソリン車を作らず、電気自動車(EV)を作ることです。

詳しい計算式はわかりませんが、EVの排出CO2は0であるとみなされるようです。
(Well-to-Wheel(油井から車輪まで)で考えると世界的にまだまだ火力発電が主流のため、EVのための電気を作るためにCO2はガンガン排出されてるんですけどね。)

なので、EV車種を1つ2つ用意するだけでCO2排出量平均値を極端に下げることができます。

更に言えば、既存車種をEVに置き換えるのが最も効果的ですね。(この記事の答えを書いてしまいました 笑)

これが、昨今のメーカーでEVにシフトしている大きな理由の1つです。

前置きが長くなってすみません…。笑

 

そして、下記ではなぜマカンが電気自動車になるのか?解説していきます。

 

理由1.ポルシェで最量販車種だから。

上の段落でも書きました。

この排気ガス規制を逃れるためには、既存車種をEVに置き換えるのが最も効果的だと。

そして、ポルシェで最も普及しているのはもちろん、最も廉価とも考えられるマカンです。

直近のポルシェ販売台数の中でも2割~3割を占めているのではないでしょうか。

そのマカンが全てCO2を排出しなくなるのであれば…?

95kg/kmの達成も見えてきそうですね。

 

一番効果的な方法、それが最量販車種であるマカンをEVにすることなんですね。

 

理由2.ユーザー層が若いから。

https://www.porsche.com/japan/jp/

これはちょっと私の憶測も入っていますが…。

ユーザー層が若いから、EVにすることが出来るのだと思います。

以下はおっさんの勝手な意見です。笑

 

私の中では、お年を召した方は頑固な方が多いと思っています。

今までこうやってきたから、死ぬまでこうやるんだ!と頑なに意思を曲げない人を多く見てきました。

ポルシェの中で言えば、911以外はポルシェと認めない!だとか、空冷エンジン以外はポルシェのエンジンじゃない!とか。

もちろん、それぞれのポリシーを強く持つことは大事だし、それがメーカーへのニーズにもなります。

ただ、時代はガソリンエンジンから次世代のエンジン、電気モーターへと変遷してきています。

そういった時流を感じとり受け入れる事が出来る人が、昔ながらの人には少ないのではないかなと思っています。

 

つまるところ、ユーザー層が若いマカンはEV化が受け入れられるんじゃないかと。

私はそう考えています。

 

えっ、私自身ですか?

う~~~~~ん、難しい所ですがまだまだガソリンエンジン派ですね。笑

ポルシェが作り続ける限り、ガソリンエンジンに乗っていると思います。

ただ、EVにも興味はありますよ。乗るつもりもあります。

理由3.ガソリンエンジンのスポーツカーを作り続けたいから。

さてさて、理由1と理由2にも関連する最後の理由です。

簡単に書いてしまえば、ポルシェの象徴でありフラッグシップカーである911をガソリンエンジンとして作り続けるためマカンはEV化するのだと思っています。

 

911はまごうことなきポルシェのトップモデルです。918やカレラGTは横に置いておいて。

そのトップモデルは伝統と格式に守られ、とんでもないオプション価格でもしっかりと売れていきます。

いわゆる、商品力がとても強い。

その類稀なる商品力を形成している要素が、特徴的なRRであるということと、水平対向エンジンであるということも大きいと思います。

そこを変えてしまうと、電気自動車にしてしまうと、相当なインパクトが起きるでしょう。

実際私も愕然としてしまうでしょうね。

いつかはRRで水平対向エンジンである最新のポルシェに乗ることを人生の目標としていますから…。

 

もちろん、いずれは911もEV化するでしょう。

ですが、まだユーザーがそれを許さない。

ポルシェもしっかりわかってますね。

 

そんなところから、排気ガス規制は対応しなくちゃいけないのでまずは簡単にシフトできそうなマカンから順次EV化していこうとしているわけです。

他車種もPHEV化も推し進めていくことでしょう。

 

911がEV化するのは、おそらく最後だろうとのポルシェスポークスマンの発言もありますしね。

「ポルシェ911は内燃機関のみを積んだ最後のクルマになる」EVスポーツカー、タイカンに秘められたポルシェの意図 – Motor Fan

992型のGT3が、もしかしたら最後の純粋なガソリンエンジン車になるかもしれませんね。

まとめ:いちオーナーとして

さて、ここまでまとめてきて排気ガス規制について、ポルシェが考えている今後について、なんとなくわかってきたかと思います。

最後にマカンのいちオーナーとして、思う所を1つ。

 

マカンは2023年までガソリンモデルも併売とのことだけど、ガソリンの方はFMC(フルモデルチェンジ)はするの?しないの?

 

いやあ、本当にこの点が気になりすぎてます。

私の予想だと、おそらくFMCはしないんだと考えていまして。

楽しむ分には今のモデルを買っても後悔はしないのかなぁとも思っています。

 

う~~~~ん、ハッキリさせてほしい!

 

さて、今回はここまでです。

たまには、文章多めに昨今の情勢を踏まえて、自分の勉強にためにも書いてみました。

 

また次回!よろしくお願いします。